こんにちは、eMseedの浅田です。
本日は書籍のご紹介です。
先日、本屋に立ち寄った際にたまたま目に入り面白そうだと思って手にとった本になります。
世間的にも広く知られている企業の経営内部に切り込んだ本というのは、ついつい興味が沸いてしまいます。
コーヒー(モノ)を提供するだけでなく、スタバ体験(コト)を付加価値とする企業のマーケティング戦略や人材育成、ブランド構築などについてどんな内容だったのか、
早速シェアしていきたいと思います。
ミッションに基づく経営
早速、冒頭に根幹となる言葉がでていました。
ズバリ、ミッションに基づく経営の肝は、「自律型組織」を作ることにあると。
スタバにはマニュアルがほぼないらしく、現場の自主的な判断に任せる運営を行うことで、顧客の多様性に対応できる強さを持っていると。
マニュアルによる無難なサービスを提供するよりも、より良いものを求め個々の社員の考えるスキルを伸ばすことを重視し、十分なスキルが身に付いた段階で権限委譲をしていくとのことでした。
メンバーの育成は「気づき」を与えることを意識し、上司はコーチとしてサポートすることで自律型組織を形成しているといった内容でした。
思えば、スタバを利用したお客様の名前をカップに入れたり、笑顔マークやメッセージを添えたりするサービスには、何か指示があったりするわけではないと思うので、
これも個人の発想を尊重して成り立つものであると実感しました。
スタバの強さは真の経営理念の実践にあるとのことで、ミッションの浸透で掲げられていたことを下記にご紹介します。
そして、パートナーが身に付けるべき技能についてのご紹介もあったので記すと、
1つが「自信を保ち、さらに高めていくこと」。
2つ目が「相手の話しを真剣に聴き、理解する努力を怠らないこと」。
最後3つ目が「困ったときには助けを求めること」でした。
スタバは、「ミッションステートメント」と呼ばれる理念と価値観を最上位に掲げ、経営戦略や組織目標を定めて実践していく企業であることがわかりました。
考える過程でミッションを確認する心は、私も同じように持ち続けていきたいと感じました。
ちなみに、eMseedのミッションは「クリエイティブの力で生産性を最大化する」です。
ブランドを支えるアイデンティティとイデオロギー
スタバでは、ブランドを支えるものは「コア・イデオロギー」であると記されています。
それは、人、空間、コーヒーを組み合わせることで、スタバでしか味わえない経験の提供そのものが商品になると。
「感動体験を提供して、人々の日常に潤いを与える」イデオロギーを持つことでブランドを支えているとし、
店舗はブランドを確認する「場」であり、「広告塔」として存在しているんだとか…なんだかすごく深い話しでした。
理念に共感しベクトルを合わせる
ここでは、働く全てのベクトルを唯一1つにできる方法があると記されていました。
それは、ズバリ「お客様にとって」という視座です。
どんな仕事にも、お客様の存在があり、利益はお客様によってもたらされています。
そうである以上、部下にやりがいを持たせるためには、全てのベクトルをお客様満足に向けること、全ての仕事の良し悪しをお客様からの評価尺度で判断することが大切であると。
例えば、欠品がなぜいけないのかと問われれば、売上機会ロスが増えることよりも、お客様に無駄足を運ばせたことを問題にするとのことです。
笑顔がなぜ大切かと聞かれれば、リピート率を増やすためと答えるのではなく、お客様に気持ちよく店を利用してもらうためだと答えるのです。
そして、すべての仕事はお客様のためにあるのだと教えてあげればよいとのことでした。
人、人、人の経営
スタバは、人に一番重きを置く企業であることがわかりました。
スタバでしか味わえない経験こそがブランドを守り、また成長するための「人」は欠かせない要素であると。
顧客が満足するか否かは、顧客がお店の中でどのような体験をするかで決まるといわれ、一瞬で顧客を魅了することもできれば、逆に信頼を失うこともあるのだと。
その大切な瞬間を、会社はパートナーに委ねているので、パートナーを大切にしないでサービスを高めることはできないと記されていました。
誰にでも真似できてしまう「店舗」や「コーヒー」ではなく、「人的サービス」こそがスタバを実現するための要であり、競合他社との優位性を築く上で大切なんだと。
また、生き生きとした職場を実現するためにスタバでは、服装や髪型、接客時の言葉使いに関しても決められたルールは特になく、「こんにちは」から「いらっしゃいませ」まで様々あると記されています。
確かに出迎える際の身だしなみや、細かな要望は多種多様に応えてくれる印象がスタバにはあります。
従業員は、バリスタのレシピ以外、マニュアルに定められた通りに行動することを求められることはなく、お店の経営に主体的に参加し、
何をすれば顧客に喜んでもらえるかを自分で考え判断し、顧客に伝えていることを学びました。
「こうあるべき」を追求してしまうと、「なぜそうした方がよいのか」という考えが中心になってしまいがちだが、何をすることが大切なのか、
なぜそれが大切なのかという行動よりも心を教えることに重きを置いているのだと。
また教えることによって教える側も再確認しながら自ら学んでいくとのことでした。
これほど人に委ねた経営が実現できるのも、採用時の面談で応募者の価値観を最も重要視しているからだと言われています。
応募者の価値観とスタバの価値観で重なる部分があれば、採用後に店や会社に愛着を持って働いてくれると考えているからなのだと。
コミットメントを高める人材育成
多くの企業では、何のためにすべきか、なぜそれをすべきかといった部分に時間をかけずに、「これはこういうものだからこうしてください」といった、
目的よりも手段や方法を教えることに時間をかけているとのことでした。
一方スタバは、OJTで仕事の進め方など方法論ももちろん教えるが、それ以前にスタバとして大切にしている価値や信条をしっかりと植え付けていくことが大切だと記されていました。
そこが正しく理解されベクトルが合っていれば、手取り足取り教えなくても、正しい方法は1人ひとりが考えて実践できると。
なるほど、、大変勉強になる記述でした。
スターバックス流トレーニング術
スタバの教育の進め方で私が学びを受けたのは、教え込むものではなく相手の力を引き出してあげようとする姿勢でした。
一方的に「こうしなさい」と言うのではなく、「あなたがどうなりたいか」を対話することで、それが動機付けの原点となり主体的な行動につながるものだと。
スタバの教育システムで注目したい点があったので、下記メッセージをご紹介します。
スターバックスは人間関係によって結ばれた組織
スタバでは、人を大切に育てるために、コンピテンシーを活かした人材開発を行なっているとのことでした。
一般的にコンピテンシーとは、特定の職務や役割を効果的に遂行するために必要な知識、スキル、行動特性、態度などの総合的な能力を指すみたいだが、
スタバでは、どのような人になってほしいのかやどのようなスキルを持つ人を育てるのかといった、人材開発における基準としてコンピテンシーを置いているのだと。
応募者の価値観を尊重するスタバでは、店舗で働いて何を成し遂げたいのか、どう変わりたいのかを明確にしてくれる応募者を採用していることからも、
人と人との関係性を大事にしているんだと理解しました。
他にも社員やアルバイトなどの区別はなく、一緒に働くパートナーを第一に考える存在として、もっとも大切なステークホルダーであると位置付けていたり、
福利厚生Bean Stockというストックオプションの権利付与があるところが、組織のコミットメントを高めている大きな要因であるとわかりました。
目標管理と評価制度
スタバの人事考課では、評価する際に点数化しないところや複数の上司による評価を採用し納得性を高める方法をとっているとのことです。
評価を数値化してしまうと、本人が達成しやすい目標を立てたり、逆に失敗を恐れてパフォーマンスが低く可能性も高いとのことで、
マインドの内面部分には数値化できないといった考え方からもこのような評価方法になっているんだとか。
結束力の強い組織はこうして作る
強い組織には、「意欲と能力と環境」を高めるシステムがあるんだとか。
最後の章では、1つ面白い内容もあったので、ご紹介したいと思います。
それは、「報酬に勝るものがある」と述べられていた点です。
衛生要因の中の給料や労働条件が標準以下であった場合、仕事にはマイナスになると言われていますが、標準以上であっても仕事への意欲はさほど変わらないのだと。
また仕事に不満を感じているときには、作業環境への関心が集まりやすいと記されていました。
旺盛な意欲を生むためには、「興味ある課題」と「主体的関与」が重要で、労働時間や報酬は不満を感じさせない機能を果たすとありました。
ゆえにスタバでは、組織や目標に対するコミットメントを高めて、仕事に対する満足感を高めるための施作を徹底しているんだと。
今後、スタバのような会社はどんどん大きくなり、世間からも受け入れられやすい未来が想像できました。
それは、大切にしている理念や価値観に共感し、それを共有する人たちが集まる組織が今後さらに求められて大切になっていく時代であると私自身が感じているからです。
従業員は単なるマネジメントの対象ではなく、共に戦うパートナーとしての位置づけに変わっていくのだろうと。
その先例として、スターバックスの人材マネジメントは大いに参考となりました。