こんにちは、eMseedの浅田です。
今回は、経営者の先輩にオススメしていただき購入した本「新規事業を成功させるPMF」のご紹介です。
今の事業をさらに加速させていくにはどうしたらいいのか、年が明けた2025年早々に悩んでおり、新たな新規サービスの必要性も考えていたので、そういった意味でもこの本に出会えてよかったです。
読み終えて、クライアントのPMFを加速する動画コンテンツの提供や自分のやるべき方向性も今は少し見えた気がします。
では、私なりに今回の感想を綴っていきたいと思います。
第1章 PMFとは何か?
PMFとは、「プロダクトマーケットフィットの略で顧客のニーズを満たす商品で、正しい市場(潜在的な顧客がたくさんいる市場)にいること」と定義されています。
PMFがある商品は、商品が顧客に引っ張られるように売れていき、顧客が商品を使い続けてくれたり、口コミをして他の顧客を連れてきてくれたりする状態を意味しています。
PMFを達成した商品を自分でも扱い、事業を成功させたいと率直に思いながら読み進めていました。
一方、PMFが達成できずにいる商品は、広告を出稿しても申し込みがなかったり、営業パーソンが必死に売り込みをかけたりしても発注をもらうこともできず、商品を使った顧客が満足していない状態だと言われています。
下記図のように、PMFが見つかる前は大きな岩を押しながら山を登っている状況だが、PMFを見つけた後は山頂を超えて大きな岩が転がるのを追いかけている状況との例えが理解しやすかったので参考に載せています。

引用元:新規事業を成功させるPMFから
第2章 新規事業がPMFできずに失敗する理由
本章では、新規事業がうまくいかない理由を次の12個にまとめてくれています。
01,顧客ニーズを検証せずに商品をリリースしてしまう
02,PMF達成に必要ないことに時間を使ってしまう
03,商品をリリースする前に社内の議論を重ねてしまう
04,PMFしていないのに営業・マーケティング投資を始めてしまう
05,見せかけのPMFに騙されてしまう
06,安易に組織の人数を増やしてしまう
07,意思決定や打ち手の成功確率にこだわりすぎてしまう
08,虚栄の指標を追ってしまう
09,市場規模を確かめずに参入してしまう
10,競争戦略を描かずに参入してしまう
11,「やってみないとわからない」という思考停止で進めてしまう
12,スモール過ぎるスモールスタート
特に「顧客ニーズを検証せずに商品をリリースしてしまう」内容については、「新規事業の立ち上げ時にこれならいける」であったり、
「自分たちはこの市場について詳しいから、顧客ニーズをわかっているだろう」という感覚で実際の市場とのズレが生じている点の話しは、すごく理解できる内容でした。
私の事業の1つであるビジネス動画制作は、当初この本でも書かれているように、ものづくりができてしまうがゆえに、商品をつくることを優先してしまったり、
最初から細かいデザインや演出等、磨き込みに時間をかけてしまっていた結果、顧客ニーズの理解や目的が薄れていた経験をしてきました。
当時は、自分のエッセンスややりたいことを盛り込み、ターゲット層やメッセージの深さを理解せずにどちらかと言えば期日内に自分自身が納得する=つくることを目的としていたため、
この章では、顧客の声を深く聞く仕組みを作ることが改めて重要だと痛感しました。
「成功はアート、失敗はサイエンス」と言われるように、事業の失敗には再現性があり、失敗パターンを学び、失敗を避けることは事業の成功確率を上げることにつながるを本章では学びました。
PMF達成に向けた活動を進める前に、どのような取り組みがPMFを阻害し、事業の成功を遠ざけてしまうのかおさえる意味でも勉強になりました。
第3章 PMFを達成するまでの道のり
本章では、PMFを達成するまでの道のりとその後のプロセスを、下記フィットジャーニーと呼ばれるフレームワークに沿って解説してくれています。

引用元:「PMFを達成するまでの道のり」から
また、それぞれのフェーズを目標、指標、主な活動という3つの観点でまとめると下記のようになるとのことです。

引用元:「PMFを達成するまでの道のり」から
各フェーズにおいて、達成すべき「目標」を定義し、チーム内で定義した「目標」を達成し、次のフェーズへと進んでいくことでPMFやその後のGTM、Growthが実現できると解説されています。
CPFでは、まずは特定の層に100%フィットさせ、後から接近する市場へ広げていく発想を持つこと、
PSFでは、自分たちが提供する解決策が顧客が求めるものかどうかを営業資料やLP、動画、モックやプロトタイプ等で検証するとの重要性を学びました。
SPFでは、素早く商品をローンチし、フィードバックを得ながら解決策としての質を上げていくことの重要性、
PMFでは広告運用の最適化やLP細部の拘り等顧客が買ってくれるのか、顧客が喜んでくれるのか、顧客が熱狂してくれるのか、拘る必要があるとのことです。
GTMでは、自社商品をどのような流れで顧客へ届けるかを4Pや4Cのマーケティング戦略を使って整理していくことの大切さを学びました。
Growthでは、営業・マーケティングへの投資だけでなく、組織の拡大に伴う採用や育成も視野に入れる必要があるとのことです。
4章 PMF達成の肝となるバリュープロポジション
バリュープロポジションとは、「自社が提供できて競合他社が提供できない、顧客が求める独自の価値」を意味し、つくる優先順位は顧客が望んでいる価値→自社が提供できる価値→競合他社が提供できる価値の順番とのことでした。
本章ではバリュープロポジションをつくる際に陥りがちなお落とし穴を例にその回避方法や迷いを断ち切るためのヒントが詰まっていました。
5章 PMFを達成しやすい組織をつくる
本章では新規事業の成功のポイントは「解像度の高さ」で説明されています。
つまり、経験豊富な人がその人がよく知っている領域で事業を立ち上げ、顧客獲得の方法もわかっていて、マネジメント経験もあって組織の拡大にも対応できればうまくいきやすいと著者は伝えています。
ただ解像度の高い人を採用できればいいが、必ずしもそいうった人がいないこともあるので、その場合には解像度を高める16個の方法として下記取り組みを共有してくれているところが納得できました。
01,商品を自分で使ってみる
02,競合商品を使ってみる
03,インタビューする
04,顧客を観察する
05,顧客に営業する
06,インタビューや商談などの録画視聴会
07,アンケートをとる
08,ドメインエキスパートを仲間にする
09,ペルソナを作成する
10,カスタマージャーニーマップを作成する
11,顧客の声の収集
12,受託する
13,リリースしてみる
14,経営者などの意思決定者が定期的に顧客と会う
15,解像度向上に責任を持つ人や部署を置く
16,失敗事例も共有する
本章では、PMFとは何か、どのようなプロセスを経るのか、PMFに至るために重要な考え方や組織のあり方についての解説でした。
6章 PMFの測り方
この章では、PMFを計測するすることを考える際に参考となる4つの指標(虚栄の指標、遅行指標、先行指標、定性的な指標)について学びを得ました。
しかし、計測するうえでは必ずしも数字が高い必要はないということで、実際に誰でも日常的に使っているサービスでさえ、さほどNPSが高くないことが理解できました。
7章 PMFした後のさらなるPMFに向けて
事業を継続的に成長させていく方向性は大きく4つに分けることができると著者は話しています。
①既存セグメントの獲得に注力する
②既存セグメントにアップセルする
③新しいセグメントに広げる
④クロスセル商品を開発する
①〜③にセグメントという言葉が入っているように、どのようなセグメントなのかをしっかりと分析をしたうえで、次の成長戦略を立てることが重要だと実感しました。
8章 PMFの引き金となるPMFトリガー
ここでは、14社のPMFトリガーを例に7つあるPMFトリガーの内、2〜3個のトリガーを経て大きな飛躍を遂げている点が具体的に記載されていました。
「顧客に向き合う」というトリガーだけは全社共通して言えることだと理解できました。
9章 14社から学ぶPMFの実現と事業成長ノウハウ
それぞれ14社の事業成長やノウハウについて具体的内容が記されていますが、中でもタイミーの取り組みがシンプかつお客様の課題や悩みを解決したサービスとして学びになったのでシェアします。
タイミーの取り組みは、『コンセプトと思想』の段階で市場の反応を検証し、売れる可能性を見極めることから始めた点が特徴的でした。
想いが強い業界に照準を合わせる、創業メンバーがコミットして、初期の成功体験をつくる市場変化に対応して業界ごとに課題を洗い出し、2度目のPMFを達成した内容が個人的に興味深かったです。
本書を読んで、自社のビジネス動画制作事業においても、初期の段階で顧客インタビューやプロトタイプ検証をより強化し、仮説検証のプロセスを重視したいと考えました。
最後に、この本をおすすめしたい人とはどんな人かを綴って終えたいと思います。
新規事業を立ち上げたい起業家・経営者
スタートアップや新規事業の立ち上げを考えている人にとって、PMFの概念を正しく理解し、成功確率を高めるための具体的な方法が学べる一冊になっています。
事業の方向性に迷ったときや、プロダクトが思うように売れないときに、何が問題なのかを整理するヒントになると思います。
事業開発・マーケティング担当者
新規事業の立ち上げに関わる事業開発やマーケティング担当者にとって、顧客ニーズの検証や市場分析の重要性が具体的な事例とともに学べます。
PMFの達成に必要なステップや指標について理解を深め、実践に活かせるでしょう。
プロダクトマネージャー・エンジニア
プロダクト開発に関わる人にとっても有益な内容です。技術や機能にこだわるだけでなく、「顧客が本当に求めている価値は何か?」を意識しながら開発を進めることの重要性を再認識できます。
開発と市場のギャップを埋めるための考え方が得られます。
既存事業の成長戦略を模索している企業
すでに事業を展開しているが、思うように成長できていない企業にとっても、PMFの視点で現状を見直すきっかけになります。
市場の変化に適応し、さらなる成長を目指すための戦略構築に役立つでしょう。
自分のアイデアを形にしたい人
「良いアイデアがあるけれど、どう形にすればいいかわからない」「どうやって顧客に届ければいいのか不安」という人にとっても、PMFを理解することで、アイデアの市場適合性を検証し、成功に近づく道筋を描くヒントが得られる1冊です。